Journey Photo

付録 30日練習・基礎

30日練習プラン|1日5〜15分で、写真の基本が身につく

上達の近道は、読むことより、同じ被写体を設定だけ変えて撮り比べることです。このプランは、30日間、毎日1つのお題を撮るだけ。各日に対応する章が書いてあるので、分からなくなったらその章に戻ってください。設定の数値はすべて目安で、光やレンズによって変わります。

このプランの進め方

要点 1日1お題、5〜15分。完璧に撮るより、設定を変えて「違いを見る」ことが目的。

毎日の流れは同じです。お題を読む、近くの被写体で数枚撮る、写真を拡大して見るポイントを確かめる。この3つだけで、長くても15分ほどです。

  1. お題を読んで、被写体を決める家の中の物、通勤・通学の道、窓の外など、手近なもので構いません。毎日同じ被写体を使うと、設定の違いが比べやすくなります。
  2. 設定を変えて、3〜5枚撮る表の「設定の目安」を参考に、設定を1つだけ変えて撮ります。一度に変えるのは1つまでにすると、何が効いたかが分かります。
  3. 拡大して「見るポイント」を確かめる撮った直後に、画面を拡大して見ます。うまくいかなかった日も、それが学びです。
  4. 1行だけメモを残す「F2.8 だと背景がぼけた」のように、1行で構いません。最終日の振り返りで役に立ちます。

よくある失敗

  • 1日に複数の設定を同時に変えて、何が効いたのか分からなくなる
  • うまく撮れなかった日に、続けるのをやめてしまう。1日抜けても、翌日から再開すればよい

第1週 露出

要点 絞り・シャッタースピード・ISO・露出補正を1つずつ動かして、明るさがどう変わるかを体で覚える。

最初の1週間は、明るさを決める道具を1日1つずつ試します。対応する章は第1章(カメラの使い方 完全入門)です。

第1週 日ごとのお題(所要の目安は各日 5〜15分)
日お題設定の目安見るポイント
1いつものモードで1枚撮り、撮影情報(EXIF)を見る(第1章)オートでよい。撮った写真の情報画面を開く絞り(F値)・シャッタースピード・ISO の3つの数字が、どこに表示されるか。まずは場所を知る
2絞り(F値)を変える(第1章)絞り優先(A・Av)。F値を最小・中間・大きめ(F8 前後)の3枚背景のぼけの量。F値が大きいほど、ぼけは減るか
3シャッタースピードを変える(第1章)シャッター優先(S・Tv)。動く物(歩く人・揺れる木)を 1/60・1/250・1/1000 秒の目安で動きが止まるか、流れるか。速いほど止まる
4ISO 感度を変える(第1章)暗めの室内で、ISO 100・400・1600・6400 の目安。他は固定ざらざらしたノイズが出る境目。写真を等倍に拡大して見る
5露出補正を使う(第1章)絞り優先。同じ場面を −1・0・+1 の3枚明るさの変化。白い物を撮ると、0 では暗く感じるか
6ヒストグラムを見る(第1章)明るい窓と暗い室内が両方入る場面を、露出補正 −1・0・+1 でヒストグラムが左右どちらの端に寄るか。白飛びや黒つぶれが出る境目
7三要素を組み合わせる(第1章)マニュアル(M)で、同じ明るさを 2通りの設定で(例:F2.8 で速いSS、F8 で遅いSS)明るさは同じでも、ぼけと動きの出方が変わるか
露出の梯子。F値・シャッター・ISO を1つ隣へ動かすと、光の量が2倍または半分になる(1段)左ほど暗い → 右ほど明るく写る(F値は小さいほど明るい)F値F8F5.6+1段F4+1段F2.8+1段F2+1段シャッター1/1251/250+1段1/500+1段1/1000+1段1/2000+1段ISO800400+1段200+1段100+1段50+1段
露出の段のイメージ。絞り・シャッタースピード・ISO は、どれも1段ごとに光の量が2倍・半分になる。

よくある失敗

  • 3日目に動く被写体が見つからない。蛇口の水や、風で揺れる洗濯物でもよい
  • ISO の違いを、画面全体の小さな表示で比べて分からなくなる。拡大して比べる

第2週 ピントと動き

要点 ピントを置く場所、ぼけの作り方、動きの止め方と流し方。「どこを見せるか」を自分で決める。

第2週は、ピント(第2章)と動き(第3章)が中心です。動く被写体は、歩く人・走る犬・通る電車や車など、安全に撮れる物で構いません。

第2週 日ごとのお題(所要の目安は各日 5〜15分)
日お題設定の目安見るポイント
8ピントを置く位置を変える(第2章)花や置物を、手前・中央・奥にピントを置いて3枚。F値は小さめどこが一番くっきりしているか。人物なら手前側の目に合わせる練習
9近づいてぼかす(第2章)同じ F値のまま、被写体に近づく・離れる・背景から遠ざける背景のぼけの量が、どの動きでいちばん変わるか
10手前から奥までくっきり(第2章)風景や室内で F8〜F11 の目安。ピントは画面の手前寄り手前と奥の両方がくっきりしているか。F16 以上で全体が甘くならないか
11AF の動き方を使い分ける(第2章)止まる物は AF-S、歩く人や犬は AF-C(呼び名はメーカーで違う)。連写で5〜10枚ピントが合っている枚数。AF-S で動く物を撮ると外れやすいか
12手ぶれを確かめる(第3章)手持ちで、1/30・1/60・1/250 秒の目安で同じ物を3枚ずつどのシャッタースピードから、輪郭が揺れて見えるか。自分の限界を知る
13流し撮りに挑戦(第3章)。人や車が通らない日は、蛇口や洗濯物を横に追うシャッター優先で 1/30〜1/125 秒の目安。歩く人や通る車を、目で追いながら撮る。安全な場所で背景は流れ、被写体はある程度止まっているか。失敗も多いので10枚以上撮る
14水の流れを撮る(第3章)シャッター優先で 1/4〜1 秒の目安。ISO は最低、明るすぎれば F値を大きく。三脚か、置ける台を使う。蛇口の水や噴水でもよい水が糸のように流れて見えるか。カメラがぶれていないか
同じ速さで動く被写体のシャッタースピード別の写り方。速いと止まり、遅いと流れた線になる1/1000 秒止める1/60 秒少し流れる1/4 秒大きく流れる右へ動く被写体(目安)
シャッタースピードと動きの見え方のイメージ。速いと止まり、遅いと流れる(目安)。
手持ちで手ぶれしにくいシャッタースピードの目安。焦点距離の分の1秒より速く(フルサイズ換算)焦点距離(フルサイズ換算)と、手持ちの目安シャッター(これより速く)24mm1/30 秒50mm1/60 秒100mm1/125 秒200mm1/250 秒手ぶれ補正があれば数段ぶん余裕がある(効き方は機種で違う)
手持ちで撮れるシャッタースピードの目安。焦点距離に応じた速さが目安となる(個人差がある)。

このサイトの実例:1/1000 秒より速いシャッターで撮った写真

このサイトの実例:1/15 秒より遅いシャッターで撮った写真

よくある失敗

  • 13日目の流し撮りで、道路に近づきすぎる。車や自転車がある場所では、安全を最優先にする
  • 14日目に、手持ちで遅いシャッターを使って全体がぶれる。机や壁にカメラを置くだけでも違う

第3週 光・色・構図

要点 同じ被写体でも、光の向き・時間・色・画角・構図で別の写真になる。

第3週は、光と色(第4章)、画角(第5章)、構図(第6章)です。構図の考え方は、教科書の構図ガイド(/composition)にまとまっています。

第3週 日ごとのお題(所要の目安は各日 5〜15分)
日お題設定の目安見るポイント
15光の向きを変える(第4章)。曇りや夜なら、窓際で物を回して撮る同じ物を、順光・サイド光・逆光の3方向から撮る。露出補正は好みで影の位置と、質感の見え方の違い。逆光で暗くなった所をどう明るくするか
16朝か夕方の光を撮る(第4章)。時間が合わない日は、窓辺の光が低い時間でもよい日の出後・日没前の時間帯に、同じ場所を撮る。露出補正 −0.3〜−1 の目安光の色が昼と比べてどう違うか。影の長さ、暖かさ
17ホワイトバランスを変える(第4章)室内の電球の下で、オート・電球・太陽光の3枚白い物が白く見えるのはどれか。色かぶりの出方
18曇りや日陰の光を撮る(第4章)。晴れの日は建物の日陰か窓辺で曇りの日や日陰で、人や花を撮る。露出補正は 0 から始め、被写体が暗ければ + へ影が弱く、やわらかい写りになるか。色が青っぽくないか
19広角と望遠を比べる(第5章)同じ場所から、ズームで広角側・標準・望遠側の3枚。スマートフォンは倍率を変える写る範囲(画角)と、背景の大きさの違い
20三分割構図を試す(第6章)画面を縦横3分割に見立て、被写体を線の交点付近に置く。中央に置いた写真と比べるどちらが落ち着いて見えるか。視線がどこへ向かうか
21余白と額縁を使う(第6章)被写体の手前に枝や窓枠を入れて囲む(額縁)、または周りに余白を取る。3パターンで奥行きや静けさが出るか。余計な物が写り込んでいないか
光の向き。順光は被写体の正面、サイド光は横、逆光は後ろから光が当たる順光後ろから当たるサイド光横から当たる逆光向こうから当たる
光の向きのイメージ。順光・サイド光・逆光で、被写体の見え方が変わる。
時間帯ごとの光の目安。朝夕は金色で影が長く、昼は強く硬い光で影が短い朝青っぽい→金色影は長い午前白っぽく明るい影は短め昼強く硬い光影は真下・濃い夕方金色〜オレンジ影は長い夜人工光と青い空—日の出・日の入りの前後 約1時間が「ゴールデンアワー」(季節・緯度で変わる)
時間帯による光の違いのイメージ。朝夕は光が低く、色が暖かい傾向がある(目安)。

よくある失敗

  • 16日目に太陽を直接のぞく。ファインダーや画面で太陽を見続けない
  • 17日目に、ホワイトバランスを変えたまま次の日も撮り、色が変なことに気づかない。終わったらオートへ戻す

第4週 場面別

要点 覚えた設定を場面に当てはめる。最後の3日は、現像・失敗の直し・機材の点検で締める。

第4週の前半は、場面別レシピ(第7章)に沿って、風景・街・料理・人物・夜景を試します。後半の3日は、仕上げ(第8章)、失敗の直し方(第9章)、機材の手入れ(第10章)です。

第4週 日ごとのお題(所要の目安は各日 5〜15分)
日お題設定の目安見るポイント
22風景を1枚(第7章)F8〜F11 の目安。画面の手前寄りにピント。水平を確かめる空と地面の割合。手前に目印があるか。傾いていないか
23街のスナップ(第7章)。人が苦手な日は、看板や影だけ絞り優先で F4〜F8、シャッターは 1/250 秒以上が目安。人の顔が主役にならないよう配慮する人や車と背景の関係。顔が写る場合は、周りへの配慮を忘れない
24料理や室内の物を撮る(第7章)窓からの光で、斜め上と真横から。F値は小さめから中間光の向き。ホワイトバランス(黄色く見えないか)。ピントを置く場所
25人物を撮る(第7章)。相手がいない日は、ぬいぐるみや自分の手家族や友人にお願いして、承諾を得て撮る。F値は小さめ、ピントは手前側の目目のピント、顔の明るさ、背景の整理。表情が自然か
26夜の景色を撮る(第7章)三脚か台に置き、F8 前後・ISO 100〜400 の目安、シャッターは 1〜数秒、セルフタイマー併用。安全で明るい場所で。夜に出られない日は、室内の照明を落としてキャンドルなどを撮るぶれていないか。光源の白飛び。夜道の安全
27RAW 現像か、スマートフォンの編集を試す(第8章)好きな1枚を選び、明るさ→コントラスト→色の順に、少しずつ調整する元の写真と見比べて、やりすぎていないか。順番を守ると失敗が減る
28自分の失敗写真を1枚直す(第9章)これまでの失敗写真から1枚選び、原因を特定してから撮り直すぶれ・ピンボケ・暗い・白飛びのどれか。直したら、本当に良くなったか
29機材の点検と、写真のバックアップ(第10章)レンズの汚れ、バッテリー、カードの空き容量を確認。写真を別の場所へコピー(時間がかかるときは開始だけして任せる)レンズの指紋、センサーのゴミ(F11 以上に絞って青空か白い壁を撮ると見える。自分で触らない)。バックアップが2か所以上あるか

このサイトの実例:焦点距離 24mm 以下(広角)で撮った写真

このサイトの実例:焦点距離 135mm 以上(望遠)で撮った写真

よくある失敗

  • 23日目に、知らない人の顔を撮ることに不安を感じる。街並みや看板、影を主役にしてもよい。撮れる場所・撮ってよい人かは、各地の決まりと相手の気持ちを大切にする
  • 26日目に、暗い場所で足元が見えず危険になる。安全な場所を選ぶ

最終日 振り返り

要点 30日分を見直して、できるようになったことと、次の1か月の目標を1つ決める。

30日目は新しいお題は撮らず、これまでの写真を見直します。所要は 15 分ほど。振り返りの質が、次の上達の速さを決めます。

最終日の進め方
日お題設定の目安見るポイント
3030日分の写真を見直し、次の目標を決める(全章)撮影情報(EXIF)を見ながら、お気に入り5枚と、うまくいかなかった5枚を選ぶ好きな写真の共通点と、失敗の共通点。次に直す1つのこと
  1. お気に入り5枚と、残念な5枚を選ぶ30日分の写真を一覧で見て、「好き」と「残念」を5枚ずつ選びます。迷ったら、直感で構いません。技術的な出来より、好きかどうかを優先します。
  2. EXIF を見て、数字を比べるEXIF(撮影情報)は、写真アプリやパソコンの「情報」画面で見られます。見方はアプリで違います。見る項目は、絞り(F値)・シャッタースピード・ISO・焦点距離・露出補正の5つ。お気に入りと残念で、数字に傾向があるかを探します。
  3. 傾向を言葉にする例:「お気に入りは F値が小さく、被写体に近い」「残念な写真は、夕方の室内でシャッターが遅い」。1行で構いません。毎日のメモも手がかりにします。
  4. 次の目標を1つだけ決める「ぶれを減らす」「ピントを目に合わせる」「光の向きを意識する」など、具体的な目標を1つだけ。目標は1つにすると、次の1か月で変化が見えやすくなります。
  5. 目標に合う章に戻るぶれなら第3章、ピントなら第2章、色なら第4章、仕上げなら第8章。必要な章だけ読み直します。
振り返りで見る EXIF の項目
項目何が分かるか見るときの一言
絞り(F値)ぼけの量と、ピントの合う範囲ぼけすぎ・ぼけなさすぎの写真で、F値を確かめる
シャッタースピード動きの止まり方と、ぶれやすさぶれた写真は、遅すぎないかを確かめる
ISOノイズの出やすさざらつく写真は、ISO が高すぎないかを確かめる
焦点距離画角(写る範囲)広角と望遠のどちらを多く使ったか、偏りを知る
露出補正明るさをどうずらしたか明るさを直す癖があるか、いつも暗めか明るめか

よくある失敗

  • 振り返りで、失敗した写真を見るのがつらくなる。失敗は上達のヒントなので、原因を1つ探せれば十分
  • 次の目標を5つも6つも立てる。1つに絞るほうが、変化に気づきやすい

この章のまとめ

  • 1日1お題、5〜15分。設定を1つだけ変えて撮り比べ、拡大して違いを確かめる。
  • 第1週は露出、第2週はピントと動き、第3週は光・色・構図、第4週は場面別と仕上げ。分からなくなったら対応する章に戻る。
  • 数値はすべて目安。光やレンズ、機種で変わる。スマートフォンは、できる操作に置き換える。
  • 安全を最優先にする。太陽をのぞかない、道路や水辺で無理をしない、人や私有地は各地の決まりと相手の気持ちを大切にする。
  • 最終日は、お気に入りと残念な写真を5枚ずつ選び、EXIF を比べて傾向を言葉にし、次の目標を1つだけ決める。

外で撮ってみる(練習)

  1. 練習 1同じ場所で、30日間つづける

    家の窓や机など、決めた場所を毎日撮ります。設定を変えた違いと、光や天気による違いの両方が見えてきます。

  2. 練習 2週の終わりに、1枚だけ選ぶ

    毎週の最後の日に、その週でいちばん気に入った1枚を選び、なぜ好きかを1行で書きます。

  3. 練習 3日にちを入れ替えてもよい

    天気や予定で、お題の順番は入れ替えて構いません。夕方の光(16日目)は、天気の良い日に回すなど、無理のない順に。

確認クイズ

Q1練習で、設定を変えるときの基本は?

解説 1つだけ変えると、何が写真に効いたのかがはっきり分かります。複数を同時に変えると、原因が分からなくなります。

Q2背景のぼけを比べたい。2日目のお題で、動かす設定は?

解説 ぼけの量はF値に大きく左右されます。F値だけを変えて撮り比べると、ぼけ方の違いがはっきり分かります。

Q3手持ちでぶれる限界のシャッタースピードを知りたい。何をする?

解説 手持ちの限界は、人やレンズで変わります。1/30・1/60・1/250 秒などを段階的に撮り、どこから揺れて見えるかを自分で確かめます。

Q4最終日の振り返りで、まず見る情報は?

解説 EXIF には撮影時の設定が記録されています。お気に入りと残念な写真を比べると、自分の癖や傾向が見えます。

Q5振り返りのあと、次の目標はいくつ決める?

解説 目標が1つだと、次の1か月で意識しやすく、変化にも気づきやすくなります。

よくある質問

30日を連続でやれなかったら?

続けて撮れなくても大丈夫です。抜けた日はそのまま飛ばすか、翌週にまとめて撮れば構いません。大切なのは、設定を変えて撮り比べる習慣をつけることです。

スマートフォンだけでも取り組めますか?

取り組めます。絞りを変えられない日は、被写体との距離、露出補正、ポートレートモード、倍率の切り替えなど、できる操作に置き換えてください。

1日15分より長く撮りたいときは?

長く撮って構いません。ただし、長く撮った日の翌日が負担にならないよう、続けやすいペースを選びましょう。