Journey Photo

第7章 場面別・応用

場面別レシピ|風景から夜景・人物・料理まで、最初の一手

第1〜6章で学んだ「露出・ピント・動き・光・レンズ・構図」を、実際の場面に当てはめる章です。場面ごとに、撮る前の準備、最初に置く設定の目安、構図のコツ、やりがちな失敗を並べました。数値はあくまで出発点です。1枚撮って確かめ、光や被写体に合わせて動かしてください。

風景

要点 絞ってISOを低く、安定した構えで、手前に目印を置いて奥行きを出す。

風景は、広い景色の中から「何を見せるか」を決める撮影です。全部を入れようとすると、何も伝わらない写真になりがちです。

準備

  • 光のよい時間を選ぶ。朝夕の低い光は影が長く、立体感が出やすい(第4章)
  • 三脚があると、低い ISO と絞ったF値でじっくり撮れる。使えない場所では無理をしない
  • 水平を確かめるため、画面のグリッド線や水準器を表示しておく
  • レンズの前の汚れを拭く。逆光では汚れが目立つことがある

設定の目安

風景の設定の目安(光・機種で変わる)
項目目安理由
モード絞り優先(A/Av)F値を決めると、残りをカメラが決めてくれる
F値F8〜F11ピントの合う範囲が深く、画質も保ちやすい(第2章)
ISO低め(ISO 100〜400程度)ざらつきを抑える。三脚なら遅いシャッターでも撮れる
ピント画面の手前寄り・スポットAF奥のほうが合って見える範囲が広い
レンズ広角〜標準広く見せる。望遠で一部を切り取るのも有効(第5章)
光の向き。順光は被写体の正面、サイド光は横、逆光は後ろから光が当たる順光後ろから当たるサイド光横から当たる逆光向こうから当たる
光の向きで景色の表情が変わる。サイド光は立体感、逆光は空気感が出やすい。

構図のコツ

  • 手前・中景・奥の3層をつくる。手前に岩や花、道などを置くと奥行きが出る
  • 水平線は画面の真ん中から外す。空を見せたいなら上寄り、地面を見せたいなら下寄りに
  • 視線を導く線(道・川・柵)を、画面の隅から中へ入れる(第6章)
  • 主役は1つ。ほかは主役を引き立てる脇役にする

このサイトの実例:F8 以上(大きい F 値)で撮った写真

このサイトの実例:焦点距離 24mm 以下(広角)で撮った写真

よくある失敗

  • 水平が傾く。海や湖は特に目立つので、撮る前に確かめる
  • 空が白く飛ぶ。露出補正をマイナスにする(第1章)か、第8章の現像で整える
  • 広角で撮ったら主役が小さくなった。近づくか、望遠で切り取る
  • 全体が甘い。絞りすぎやシャッターの遅さが原因のことがある(第2・3章)

旅のスナップ

要点 「風景・人・小さな物」を混ぜて撮ると、あとで旅の流れが思い出せる。機動力を優先して設定は簡単に。

旅では、同じ場所に何度も来られません。設定を細かく詰めるより、素早く撮れる状態にしておくことが大切です。

準備

  • バッテリーと記録メディアの空きを朝に確かめる(第10章)
  • ISO AUTO と絞り優先(A/Av)にしておけば、移動しながらでも撮れる
  • 画角は広角〜標準のズーム1本が扱いやすい。荷物は軽く
  • 行き先の撮影ルール(撮影禁止の場所・三脚の可否)を事前に調べる。現地の掲示にも従う

設定の目安

旅のスナップの設定の目安
項目目安理由
モード絞り優先(A/Av)またはオート動きながら撮るので、迷わない設定にする
F値F4〜F8街並みや風景を、ほどよい深さで写す
ISOAUTO(上限を決めておく)暗い場所で上限に達したら、シャッターが遅くなっていないか確かめる
シャッター1/250秒より速くなるように見る歩く人や乗り物が写り込んでもぶれにくい

構図のコツ

  • 引き(全体)・寄り(物や食べ物)・人の3種類を意識して撮る
  • 看板・駅名・メニューなど、場所の手がかりになる物を1枚入れておく
  • 朝や夕方の人が少ない時間を狙うと、人混みのない写真が撮れる
  • 同行者を撮るときは、先に声をかける。見知らぬ人の顔が大きく写るときは、了承を得るか、写らない構図に

このサイトの実例:スマートフォンで撮った写真

よくある失敗

  • 有名な場所だけを撮って、全体に似た写真になる。細部や足元、道すがらの景色も撮る
  • 撮影禁止の場所や私有地に入ってしまう。掲示と案内を確かめる
  • 荷物が重くて疲れ、後半に撮らなくなる。持ち物は最小限に

夜景

要点 三脚で固定して低ISO・絞ったF値・遅いシャッター。手持ちなら、ぶれない速さを優先する。

夜景は、街灯やビルの明かりと暗い空の差が大きい場面です。日没後の薄暗い空が残る時間(ブルーアワー、第4章)は、空に色が残り、建物の形も見えるので撮りやすい時間帯です。

準備

  • 三脚を持っていく。使えない場所では、手すりや壁にカメラを置いて固定する方法もある(置いて落とさないよう注意)
  • セルフタイマー(2秒など)かリモコンで、シャッターを押すときの揺れを避ける
  • 手ぶれ補正は、三脚に固定するときに切ったほうがよい機種がある(説明書を確認)
  • 暗い道・段差・車の近くでは、足元と周囲に注意する。無理に前へ出ない

設定の目安

夜景の設定の目安(三脚あり/手持ち)
項目三脚あり手持ち
F値F8〜F11(光芒を出したいとき)開放〜F4(明るさ優先)
ISO100〜400程度1600〜6400程度(ざらつきとぶれの兼ね合い)
シャッター数秒〜30秒程度1/30秒前後以上を目安に、手ぶれ補正を使う
ピントライブビュー(背面液晶に映像を出す表示)を拡大してMF(手動ピント)AF。合わなければ明るい光の所へ合わせる
時間帯ごとの光の目安。朝夕は金色で影が長く、昼は強く硬い光で影が短い朝青っぽい→金色影は長い午前白っぽく明るい影は短め昼強く硬い光影は真下・濃い夕方金色〜オレンジ影は長い夜人工光と青い空—日の出・日の入りの前後 約1時間が「ゴールデンアワー」(季節・緯度で変わる)
時間帯と空の色。日没後の短い時間に、空の青さと街の明かりが両立しやすい。

構図のコツ

  • 手前に道・橋・水面を入れると、明かりの反射や線が画面に奥行きをつくる
  • 絞ると、点の明かりが星形に広がること(光芒)がある。レンズで出方は変わる
  • 水面のある場所では、波が穏やかなら明かりが映り込む。遅いシャッターでなめらかに
  • 車の光跡は、シャッターを数秒〜数十秒にすると線として写る(第3章の長秒露光)

このサイトの実例:1/15 秒より遅いシャッターで撮った写真

このサイトの実例:ISO 1600 以上で撮った写真

よくある失敗

  • 明かりが白く飛ぶ。露出補正をマイナスにして、明かりの色を残す
  • 手持ちでぶれる。ISO を上げ、シャッターを速くする(ノイズは第8章で軽くできることがある)
  • ピントが合わない。ライブビューで明るい光を拡大してMFにする
  • ホワイトバランスで色が不自然。RAWで撮れば後から直しやすい(第4・8章)

星空

要点 暗い場所で、広角の明るいレンズを三脚に固定し、星が点に見える長さで撮る。安全第一。

星空は、街の明かりが少ない場所のほうが星がよく見えます。月が明るい夜は星が写りにくく、月の無い夜(新月前後)が向くと言われます。

準備

  • 事前に昼間に場所を下見する。夜は足元が見えにくく、危険な場所もある
  • ヘッドライトなどの明かりを持つ。撮影中は他の人の邪魔にならない向きで使う
  • 三脚・リモコンかセルフタイマー・予備バッテリー。寒いと電池が早く減ることがある
  • ひとりで山や人気のない場所に入らない。家族や友人に行き先を伝え、無理をしない
  • 車の通る道では、路肩に出ない。私有地や立入禁止の場所には入らない

設定の目安

星空の設定の目安(機種・空の暗さ・レンズで変わる)
項目目安理由
モードマニュアル(M)明るさを固定したい場面(第1章)
レンズ広角で、F値の小さい明るいレンズ多くの光を集められ、広い空が入る(第5章)
F値開放〜少し絞る程度星の光を集める。周辺の形の崩れが気になれば少し絞る
ISO1600〜6400程度星が見える明るさに
シャッター15〜25秒程度が出発点長すぎると星が線になる
ピントMFで、明るい星や遠くの明かりを拡大して合わせるAFは暗くて迷うことが多い
星を点で写すシャッター秒数の目安(500ルール)。焦点距離が長いほど短くするフルサイズ換算の焦点距離と、星が点で写りやすい秒数の目安(500 ÷ 焦点距離)14mm約35秒24mm約20秒35mm約14秒50mm約10秒高画素のカメラでは、これより短めにすると星が点になりやすい(機種で違う)
星を点で写すシャッター秒数の目安(500ルール)。高画素機は短めに。

構図のコツ

  • 地上の物(木・山の稜線・建物のシルエット)を入れると、スケール感が出る
  • 天の川などは、見える方角や時期が場所で変わる。事前に星空アプリなどで確認する
  • 星の数に頼りすぎず、空と地上のバランスを決める(空を画面の半分以上にするなど)
  • 撮影後の画面は明るく見える。画面の明るさを下げ、目を暗さに慣らしておく

このサイトの実例:ISO 1600 以上で撮った写真

よくある失敗

  • ピントが合っていない。ライブビューで星を拡大し、いちばん小さい点にする
  • シャッターが長すぎて星が線になる。秒数を短くしてISOで補う
  • 手元の明かりが他の人の写真に入る。人が撮っているときは照らさない
  • 暗い場所での事故。足元・段差・動物・車に十分に気をつける

人物(ポートレート)

要点 了承を得てから撮る。目にピントを置き、背景を整理して、表情が出る時間をつくる。

人物撮影は、写る人との信頼で成り立ちます。無断で顔を撮らない、撮った写真の使い道を伝える、嫌だと言われたらやめる。この3つを守ってください。ネットに載せる場合の決まりは各地で違うため、確かめてください。

準備

  • 撮る前に、撮ってよいか・写真をどう使うかを伝えて了承を得る
  • 光は、日陰や曇りのやわらかい光が肌をきれいに写しやすい(第4章)
  • 背景を整理する。人の頭から木が生えて見える配置などを避ける
  • 動きやすい位置に立ち、話しかけて緊張をほぐす

設定の目安

人物の設定の目安
項目目安理由
モード絞り優先(A/Av)ぼけ量を自分で決められる
F値F2〜F4程度背景をほどよくぼかす(第2章)
焦点距離50〜100mm程度(35mm判換算)顔がゆがみにくく、背景から離しやすい(第5章)
ISOAUTO表情を撮り逃さないため
ピント顔・瞳検出、または手前側の目目が合っている写真は印象が強い
シャッター1/200秒前後以上表情や身振りのぶれを避ける

構図のコツ

  • 目の高さに合わせる。見下ろすと小さく、見上げると大きく見えることがある
  • 手首・ひざなど関節ちょうどで切らない。切るなら、関節の少し上か下で
  • 背景は人から離す。距離があるほど、きれいにぼける
  • 全身・半身・顔のアップを撮り分ける。手や持ち物も入れると雰囲気が出る
  • 窓際の光(半逆光)や、日陰の明るい面は、顔がきれいに写りやすい

このサイトの実例:F2.8 以下(小さい F 値)で撮った写真

このサイトの実例:焦点距離 135mm 以上(望遠)で撮った写真

よくある失敗

  • ピントが鼻やまつ毛に合う。手前側の目に合わせる
  • 逆光で顔が暗い。露出補正をプラスにする、白い壁などの反射で光を足す(第9章)
  • 広角で寄りすぎて顔がゆがむ。少し離れて望遠側で撮る
  • 了承なしに顔を撮る・公開する。写る人の気持ちを優先する

子ども

要点 速いシャッターと連写で動きを止め、目線の高さで撮る。保護者の了承が前提。

子どもは予想できない動きをするため、準備と設定で「撮り逃さない」状態をつくります。自分の子どもでなければ、必ず保護者の了承を得て撮り、写真の使い方(SNSに載せるかどうか)も確認してください。公園や学校などの施設には、撮影のルールがあることがあります。

準備

  • AF-C(動く被写体を追い続けるピント設定。呼び名はメーカーで違う)と連写を有効にしておく(第2章)
  • 屋内は暗いので、ISO AUTO の上限を高めにして、シャッターを確保する
  • フラッシュは、子どもが驚いたり、周りの迷惑になったりすることがある。まず窓際の光を選ぶ
  • 一緒にしゃがんで目線を合わせ、遊びの中で撮る。「撮るよ」と構えすぎない

設定の目安

子どもの設定の目安
場面シャッターF値ISO
座って遊ぶ1/250秒前後以上F2〜F4AUTO
歩く・走る1/500〜1/1000秒以上F2.8〜F5.6AUTO(上限は高めに)
遊具・ブランコ1/1000秒以上F4〜F5.6AUTO
屋内の窓際1/125秒前後以上開放〜F3.5800〜3200程度

構図のコツ

  • 子どもの目線まで下りて撮る。見下ろすより、子どもの世界が伝わる
  • 顔だけでなく、手・足・後ろ姿・持ち物も撮る。成長の記録になる
  • 背景をシンプルにして、表情と動きを主役にする
  • 連写したうち、目が開いているもの、動きの頂点の1枚を選ぶ

このサイトの実例:1/1000 秒より速いシャッターで撮った写真

よくある失敗

  • シャッターが遅くて、動きがぶれる。ISO を上げてでも速さを確保する
  • ピントが背景に抜ける。顔・瞳検出がある機種は使う
  • 他の子どもが写り込んだ写真を、そのまま公開する。写り込みに配慮する
  • 「こっち向いて」と言い続け、自然な表情が減る。遊びの合間を待つ

ペット・動物

要点 目線の高さで、目にピント。動物園や野生動物では、距離を保ち、動物に負担をかけない。

動物の写真で大切なのは、動物の安全と気持ちです。無理に近づかない、フラッシュは使ってよいか確かめる(驚かせることがある)、餌をやらない(施設や地域の決まりを確かめる)。野生動物には近づきすぎず、望遠で距離を取ります。

準備

  • AF-C・連写・動物の目の検出(対応する機種)を使う
  • ペットは、おやつや遊びで気を引き、落ち着いた表情を待つ
  • 動物園では、ガラスや柵越しの撮り方を工夫する。レンズをガラスに近づけ、手で周りの光をさえぎると映り込みが減る
  • 野生動物は、巣や子育て中の場所に近づかない。ルールを守り、静かに

設定の目安

ペット・動物の設定の目安
場面シャッターF値メモ
寝ている・座っている1/200秒前後以上F2.8〜F5.6目にピントを置く
走る・遊ぶ(犬・猫)1/1000秒以上F4〜F5.6AF-C・連写
動物園(柵・ガラス越し)1/250〜1/500秒開放寄り柵のぼかし方は第2章参照
飛ぶ鳥1/2000秒前後以上F5.6〜F8望遠・AF-C・連写

構図のコツ

  • 目の高さに合わせる。犬や猫なら、床や地面近くまで下がる
  • 動物の進む先に余白を空けておくと、動きが伝わる(第6章)
  • 毛並みや鼻先など、部分を寄って撮るのも魅力が出る
  • 柵や網を目立たせたくないときは、レンズを近づけて開放寄りにすると、ぼけて消えやすい

このサイトの実例:焦点距離 135mm 以上(望遠)で撮った写真

このサイトの実例:1/1000 秒より速いシャッターで撮った写真

よくある失敗

  • フラッシュで動物が驚く。自然光を使う
  • ピントが毛や鼻先に抜ける。目の検出が使える場合は使う
  • 近づきすぎて動物にストレスをかける。距離を保つ
  • ガラスに自分が映る。黒っぽい服にする、レンズをガラスに寄せる

街・ストリート

要点 人の暮らしがある場所。撮ってよい場所かを確かめ、写り込む人の気持ちに配慮して、さりげなく撮る。

街の写真は、光・影・人の気配・看板・色の組み合わせで決まります。一方で、見知らぬ人が写る場面が多いため、配慮が欠かせません。顔がはっきり見える撮り方は避ける、嫌がられたらその場で消す、お店や私有地の中では許可を得る。国や地域で撮影の考え方が違うため、各地の決まりを確かめてください。

準備

  • 小さめのカメラ・単焦点(28〜50mm前後)は、人に圧を与えにくく機動的
  • 絞り優先(A/Av)で F5.6〜F8 に置き、ISO AUTO にしておく
  • 人通りの多い場所の三脚は避ける。通行の邪魔にならないように
  • 撮影禁止の掲示、店・施設のルール、立入禁止の表示を守る

設定の目安

街・ストリートの設定の目安
項目目安理由
F値F5.6〜F8ピントの深さに余裕を持たせ、とっさに撮れる
シャッター1/250〜1/500秒歩く人もぶれにくい
ISOAUTO明るさの異なる場所を移動するため
ピント距離を先に決めておく方法(ゾーンフォーカス)もある反応を速くする。1枚ずつ合わせるAFの設定(呼び名はメーカーで違う)や顔検出も有効

構図のコツ

  • 光の当たる場所を見つけて待つ。そこを人が通る瞬間を撮る
  • 窓・ドア・影など、画面の中に「枠」をつくる(第6章)
  • 後ろ姿・手元・シルエットなら、人の顔を出さずに雰囲気を写せる
  • 1枚で決めずに、同じ場所で何枚か撮る

このサイトの実例:スマートフォンで撮った写真

よくある失敗

  • 近距離で顔を大きく撮り、相手を不快にさせる。離れて撮る・声をかける・撮らない
  • 店先や私有地、立入禁止の場所に入る。表示と許可を確かめる
  • ポスターや看板などの著作物をそのまま作品として公開する。扱いは各地の決まりを確かめる
  • 歩きながら画面を見て、人や車にぶつかる。立ち止まって撮る

料理

要点 窓際のやわらかい光で、斜め上から。白飛びさせず、余計な物を画面から外す。

料理は、光と角度でおいしそうに見えるかが決まります。店内で撮るときは、周りの人の迷惑にならないよう、シャッター音やフラッシュに気をつけ、お店の撮影のルールを確かめます。

準備

  • 窓際の席を選ぶ。窓からの光は料理にやわらかく当たる
  • フラッシュは使わない。料理がてかり、陰も強くなることがある
  • 皿の縁やテーブルの汚れを拭く。余計な物(調味料・スマートフォン)は画面から外す
  • 冷める前に、手早く撮る

設定の目安

料理の設定の目安
項目目安理由
F値F2.8〜F5.6主役を浮かせつつ、料理の手前〜奥をカバー
ISOAUTO室内は暗いので
シャッター1/60秒より速く(手ぶれ補正があれば遅めも)手持ちでぶれないよう確保
露出補正プラス0.3〜1段程度白い皿や明るい料理が暗くなるのを防ぐ(第1章)
ホワイトバランスオート、または白い皿が白く見える設定室内の電球色を整える(第4章)

構図のコツ

  • 斜め45度前後は立体感と奥行きが出る。真上は器や並びを見せられる
  • ピントは、いちばん見せたい部分(手前の1品・断面)に置く
  • サイドの光で質感が出る。逆光気味だと湯気やつやが写りやすい
  • テーブルや背景は、料理と色の違うものを選ぶと引き立つ
料理を撮る角度。真上は皿全体、斜め45度は立体感、真横は高さや層を見せる真上皿の模様・盛りつけの全体ピザ・弁当・テーブル全体斜め45度立体感と全体が両立する定番パスタ・丼・デザート真横高さ・層を見せるハンバーガー・パフェ・ケーキ
料理を撮る角度の違い。見せたいものによって選ぶ。

このサイトの実例:F2.8 以下(小さい F 値)で撮った写真

よくある失敗

  • 室内の電球色で全体が黄色い。ホワイトバランスを直す(第4章)
  • てかりが強い。光の向きを変える・皿を回す
  • 斜めから撮って、手前だけピントが合う。絞る・ピント位置を見直す
  • 他のお客さんが写り込む。画角を狭める、後ろの人を写さない

花・マクロ

要点 近づく撮影は、ピントの合う範囲がとても浅い。ピントの位置と、風と、背景に注意。

花や小さな物を大きく写す撮影をマクロ(接写)と呼びます。近づくほどピントの合う範囲は浅くなり、少しの動きでもずれます(第2・5章)。

準備

  • 最短撮影距離(ピントが合う、いちばん近い距離。撮像面から測る)を確かめる。それより近づくとピントは合わない
  • 風の弱い朝や曇りの日は、花が揺れにくく、やわらかい光で色も出しやすい
  • 三脚や、地面近くで構えられるカメラの置き方があると安定する
  • 草地・花壇・畑では、踏み荒らさない。私有地や立入禁止の場所には入らない
  • 虫や蜂に注意する。無理に近づかない

設定の目安

花・マクロの設定の目安
項目目安理由
F値F2.8〜F8(見せたい範囲で決める)開けるとふわっと、絞ると形がはっきり
シャッター1/250秒前後以上近距離は小さな揺れも大きく写る
ISOAUTO、または低め細部の質感を保つ
ピントスポットAF、またはMFで拡大して狙いの花びらにぴったり
焦点距離標準〜中望遠、またはマクロレンズ背景を整理しやすい

構図のコツ

  • 背景を選ぶ。暗い木陰を背景にすると、花が浮き上がる
  • 逆光気味にすると、花びらが透けて見える。露出補正をプラスに
  • 全体と部分(おしべ・しずく)を撮り分ける
  • 真ん中に1つ置く構図に頼らず、余白と対角線を試す(第6章)

このサイトの実例:F2.8 以下(小さい F 値)で撮った写真

よくある失敗

  • ピントが花の手前や奥に外れる。近距離はピントが薄い。体を前後に動かして合わせる
  • 風で花が揺れて、ぶれる。シャッタースピードを速くする・風の止まる間を待つ
  • 背景に明るい点や枝が入り、うるさい。位置を変えて背景を暗くする
  • 花を折る・引っぱる。自然や他の人の花には触れない

建築・室内

要点 垂直・水平をそろえ、光と線を見せる。許可・撮影ルールの確認を忘れずに。

建物は、直線と面で構成されており、少しの傾きが目立つ被写体です。寺社や美術館、商業施設などの中には、撮影のルール(撮影不可・三脚不可・フラッシュ不可)があることがあります。掲示と案内に従ってください。

準備

  • 画面のグリッド線と水準器を表示し、カメラを水平にする
  • 撮影可能か、三脚・フラッシュは使えるかを確かめる
  • 室内は暗いので、手ぶれ補正と ISO AUTO を使う。フラッシュは周囲の迷惑になることがある
  • 訪れる時間によって光の入り方が変わる。窓からの光が射す時間を狙う

設定の目安

建築・室内の設定の目安
項目外観室内
F値F5.6〜F8開放〜F5.6(暗さによる)
ISO100〜400程度AUTO、上げすぎない範囲で
シャッター1/125秒前後以上手ぶれ補正を使い、遅くなりすぎないように
焦点距離広角〜標準広角(歪みに注意)
焦点距離と画角(フルサイズ換算の目安)。24mmは約84度、50mmは約47度、85mmは約29度、200mmは約12度24mm 約84° 広い50mm 約47° 標準85mm 約29° 中望遠200mm 約12° 望遠カメラ
焦点距離と画角。広角は空間を広く写し、標準〜望遠は歪みが少ない。

構図のコツ

  • 正面から、左右対称を意識する。奥へ向かう線の収束を見せるのも効果的
  • 見上げて撮ると、垂直線が傾いて写る。離れて、望遠側で撮ると傾きが減る
  • 窓や入口から入る光、床に映る影を主役にする
  • 人を小さく入れると、空間のスケールが伝わる(顔が分からない大きさにするなど配慮を)

このサイトの実例:焦点距離 24mm 以下(広角)で撮った写真

よくある失敗

  • 垂直線が内側に倒れる。離れて撮る、現像で補正する(第8章)
  • 窓が白く飛び、室内が暗い。明暗差が大きいときはRAWで撮り、現像で整える
  • 撮影禁止の場所で撮る。掲示を守る
  • 他の来訪者が写り込む。人の少ない時間・タイミングを待つ

雪・海・水辺

要点 明るい場面は暗く写りやすいので露出補正をプラスに。水辺では安全と機材の水濡れに注意。

雪や白い壁は、露出補正が0だとグレーに写りやすい。プラスにすると白に近づく補正 0雪がグレーに写る+0.7少し明るい+1.3白に近い(目安)カメラは「画面全体が平均的な明るさ」になるよう決めるので、白一色を暗く写しがち
雪や白い壁は、補正0ではグレーに写りやすい。プラスにして白に近づける。

雪や砂浜、水面の反射は、周りが明るいため、カメラが「明るすぎる」と判断して暗く写すことがあります。結果として、白い雪がグレーに写ります(第1章の露出補正)。

準備

  • 寒い場所ではバッテリーが早く減ることがある。予備を持ち、体温で温める
  • 寒い所から暖かい屋内に入ると、レンズや本体が結露することがある。袋に入れて、ゆっくり慣らす(第10章)
  • 海辺は水しぶきや砂、潮風に注意する。レンズの交換は避け、使用後はやさしく拭く
  • 足場の悪い場所、波打ち際、凍った面では、無理に近づかない。波の高さや天気を確かめる
  • 偏光フィルター(PL)は、水面の反射を減らし空の青を濃くできることがある(第5章)

設定の目安

雪・海・水辺の設定の目安
項目目安理由
露出補正プラス0.7〜1.5段程度(雪・砂浜)白をグレーにしないため。ヒストグラムを見て調整
F値F5.6〜F11景色全体をくっきり
シャッター動く水は狙いで変える(第3章)しぶきを止めるなら1/1000秒前後、流すなら遅く
ISO低め明るいので上げる必要が少ない
ホワイトバランスオート、または晴れ雪の影が青っぽくなることがある
ヒストグラムの4つの形。左が暗い部分、右が明るい部分。山が左に寄れば暗く、右に寄れば明るい暗い(アンダー)左に寄る標準山が中ほど明るい(オーバー)右に寄るコントラスト高両端に山左端=真っ黒右端=真っ白(白飛び)横軸=明るさ 縦軸=その明るさの量
ヒストグラムの形。雪が暗く写ると、山が左へ寄る。右へ寄せるように露出補正を。

構図のコツ

  • 雪は、足跡のない面・影・木々の線がアクセントになる
  • 海は、水平線を傾けない。波、岩、船などを手がかりに
  • 水面の反射は、風が止んだ静かな時間を待つ
  • 白い画面に、人や傘など色のある物を1点入れると引き締まる

このサイトの実例:1/15 秒より遅いシャッターで撮った写真

よくある失敗

  • 雪が灰色に写る。露出補正をプラスにして、ヒストグラムで確かめる
  • 水しぶきでレンズが濡れる。拭くための柔らかい布を、すぐ取れる所に
  • 波に近づいて濡れる・流される。無理をせず、足場の安全を優先
  • 結露でレンズが曇る。急な温度差を避け、慣らしてから使う

朝焼け・夕焼け

要点 太陽の周りは明るさの差が大きい。空の色を残すため、暗めに撮る。日の出前後・日没前後が色のピーク。

朝焼けや夕焼けは、空の色が刻々と変わります。太陽が昇る前・沈んだ後の空が、いちばん色が豊かなことがあります。早めに現地に着き、変化を最後まで見届けてください。

準備

  • 日の出・日の入りの時刻と方角を、アプリなどで事前に調べる
  • 三脚を用意する。暗い時間帯は、手持ちより低ISOで撮れる
  • 太陽を長く見ない。とくに望遠レンズ越しにファインダーをのぞき続けると、目を痛めるおそれがある
  • 暗くなってからの帰り道に備え、足元を照らす明かりを持つ

設定の目安

朝焼け・夕焼けの設定の目安
項目目安理由
露出補正マイナス0.3〜1.5段程度空の色を濃く残し、白飛びを防ぐ
F値F8〜F11景色全体をくっきり。太陽に光芒が出ることがある
ISO100〜400程度(三脚時)なめらかな空に
ホワイトバランス晴れ〜曇りに寄せる、またはRAWでオートだと赤みを弱めることがある(第4章)
ピント遠くの景色空だけだとAFが迷う。地上の物に合わせる
光の色温度の目安。低いほどオレンジ、高いほど青っぽい約2000Kろうそく約3000K電球約4000K朝夕の日の光約5500K昼の日なた約6500Kくもり約8000K日陰オレンジっぽい(低い)青っぽい(高い)ホワイトバランスは、この色を「白」に見えるよう打ち消す設定
色温度の目盛り。夕焼けは低い色温度の側(赤〜橙)にあたる。

構図のコツ

  • 地上のシルエット(木・建物・人)を入れると、空の色が引き立つ
  • 水面があれば、空の色が映り、画面が色で満ちる
  • 空を画面の大きな部分に。太陽は中央から外す(第6章)
  • 太陽が沈んだ後も、反対側の空や雲の色が変わる。振り返ってみる

このサイトの実例:F8 以上(大きい F 値)で撮った写真

よくある失敗

  • 太陽が白く大きく飛ぶ。露出を下げる・雲や木で太陽を隠す
  • 空の色が現場の印象より薄い。ホワイトバランスを固定する・RAWで現像する(第8章)
  • 暗くなるまで粘って、帰り道で危険な目に遭う。早めに引き上げる
  • 太陽をファインダー越しに長く見続ける。構図を決めたら目を離し、確認は短く

この章のまとめ

  • 場面ごとの設定は出発点にすぎない。1枚撮って拡大し、光と被写体に合わせて動かす。
  • 風景は絞って手前に目印を置く。夜景と星空は三脚で固定するのが基本で、安全を最優先にする。
  • 人物・子ども・動物は、目にピントを置く。人の撮影は了承を得て、写る人と動物の気持ちを優先する。
  • 街・建築・私有地などでは、撮影のルールと立入禁止の表示を守り、各地の決まりを確かめる。
  • 雪や砂浜は暗く写りやすいので露出補正をプラスに。朝焼け・夕焼けは暗めにして空の色を残す。
  • 料理は窓際の光、花やマクロは浅いピントに注意。どの場面も、主役は1つにする。

外で撮ってみる(練習)

  1. 練習 1同じ場所で、3つの場面の設定を試す

    近所の公園で、風景(F8)・人や動物のいる場面(F2.8)・花(開放)を、それぞれ1枚ずつ撮ります。背景のぼけ方と、ピントの置き方の違いを見比べましょう。

  2. 練習 2夕方のブルーアワーで夜景を撮る

    日没後30分以内に、安全な場所で、三脚か固定できる場所を使い、ISO を低く、シャッターを数秒に。空と街の明かりの両方が残る瞬間を探します。

  3. 練習 3窓際の料理を、角度を変えて3枚

    同じ料理を、真上・斜め45度・横から撮ります。光の向きとてかりの出方を比べて、いちばんおいしそうなものを選びます。

  4. 練習 4白い物で露出補正を試す

    白い壁や白い紙を、露出補正 0・+1・+2 で撮り、ヒストグラムの山がどう動くか、白がグレーから白に近づくかを見ます。

確認クイズ

Q1雪景色をそのまま撮ったら、雪が灰色っぽく写った。最初に試す対応は?

解説 明るい場面では、カメラが暗めに写すことがあります。露出補正をプラスにして、ヒストグラムを見ながら白に近づけます。

Q2星空を撮るときの考え方として、適切なものは?

解説 星空は光が弱いので、三脚で固定し、星が線にならない長さのシャッターで撮ります。暗い場所では足元・周囲の安全を最優先にします。

Q3人物を撮るときに、いちばん大切にすることは?

解説 無断で顔を撮らず、了承を得ることが前提です。そのうえで、印象を決める手前側の目にピントを置きます。

Q4走る子どもをぶらさずに撮りたい。まず意識する設定は?

解説 動く被写体は、速いシャッターで動きを止め、AF-C と連写で撮り逃しを減らします。ISO を上げてでも速さを確保します。

Q5ガラスの向こうの動物を撮るとき、映り込みを減らす方法は?

解説 ガラスに近づけて周りの光を遮ると、映り込みが減ります。フラッシュは反射して逆効果で、動物にも負担になることがあります。

Q6朝焼けの空の色を濃く残したい。露出の考え方として適切なものは?

解説 空の色を残すには、暗めに撮るのが基本です。明るくしすぎると、空が白く飛んで色が薄くなります。

よくある質問

場面ごとの設定を、全部覚える必要はありますか?

ありません。まずは「絞る・開ける」「速いシャッターか遅いシャッターか」「露出補正のプラスかマイナスか」の3つの方向だけを覚えれば十分です。表の数値は出発点で、撮ってから動かしてください。

人を撮るときに、了承を得るのが難しい場面ではどうしたらよいですか?

顔が分からない後ろ姿や遠景にする、人の少ない時間を選ぶ、写らないように画角を変える、といった方法があります。公開する場合は、特に配慮してください。法律や決まりは各地で違うため、現地のルールを確かめましょう。

スマートフォンでも同じ設定を使えますか?

考え方は同じです。画面のタップでピントと明るさを調整し、露出補正や夜景向けのモードを使います。数値の設定ができない機種でも、光の向き・構図・安全の配慮は共通です。