Journey Photo

第8章 現像・仕上げ

RAW現像と仕上げ|撮った写真を、狙いどおりの1枚にする

撮った写真を整える作業が現像(仕上げ)です。難しそうに見えますが、やることは「明るさ→色→細部」の順に、少しずつ整えるだけ。この章を読み終えると、Lightroom などの現像ソフトを開いたとき、どのスライダーから何のために触るかを自分で判断できるようになります。

RAWとJPEG:何が違い、なぜ現像するのか

要点 JPEG はカメラが仕上げた完成品、RAW は仕上げる前の素材。素材のほうが、明るさと色を後から大きく動かせる。

JPEG は、カメラが色や明るさを仕上げて、ファイルを小さくした完成品です。そのまま共有でき、手軽です。RAW は、センサーが受けた情報をほぼそのまま残した素材で、そのままでは見栄えが平凡に見えることがあります。ここから自分で仕上げる作業が現像です。

RAW と JPEG の比べ方(一般的な傾向)
項目RAWJPEG
中身センサーの情報がほぼそのまま。仕上げる前の素材カメラが色・明るさ・シャープを仕上げた完成品
階調(明るさの細かさ)細かい(多くは 12〜14 ビット程度)粗め(8 ビット)。大きく動かすと段差が出やすい
後から直せる幅広い。明るさ・ホワイトバランスを大きく動かせる狭い。大きく動かすと画質が落ちやすい
ファイルの大きさ大きい小さい
そのまま使えるか現像ソフトが必要すぐ共有できる

RAW の現像は、元のファイルを書き換えない方法が一般的です。設定は別の場所に記録されるので、何度でもやり直せます。気に入らなければ、いつでも最初の状態に戻せます。

よくある失敗

  • RAW なら何でも直せると思い、撮影時の露出やピントを雑にする。ピントのずれと大きなぶれは現像では直せない
  • 元の RAW を残さず、書き出した JPEG だけを保存する。後でやり直せなくなる

現像の考え方と順番:大きなものから、細かいものへ

要点 切り抜き→ホワイトバランス→明るさ→色→部分補正→細部→書き出し。順番を守ると、手戻りが減る。

現像の順番。選ぶ、切り抜きと傾き、色、明るさとコントラスト、部分補正、細部、書き出し1選ぶ2切り抜き・傾き3色(WB)4明るさ・コントラスト5部分補正6細部(シャープ・ノイズ)7書き出し大きな直しから、細かい直しへ(目安)
現像の順番(目安)。大きな直しから、細かい直しへ。

現像のスライダーはたくさんあります。全部を触る必要はありません。大事なのは順番です。先に細かい所を整えても、あとで大きな明るさを変えると、細かい所のバランスが崩れるからです。

  1. 1. 写真を選ぶ全部を現像せず、ピントとぶれを拡大して確かめ、残す写真を選びます。同じような写真は1〜3枚に絞ります。
  2. 2. 切り抜きと傾き構図は最初に決めると、あとの作業が楽です。水平線の傾きを直し、不要な端を切ります(第7節)。
  3. 3. レンズ補正とホワイトバランスソフトのレンズ補正で、周辺の暗さや歪みを整えます。次に色温度(白を白く見せる調整)で、光の色を合わせます。
  4. 4. 全体の明るさ(露出)写真全体の明るさを整えます。ヒストグラムを見ながら動かします。
  5. 5. ハイライト・シャドウ・白レベル・黒レベル明るい所と暗い所を個別に整え、白飛びと黒つぶれを避けます。
  6. 6. コントラストと色メリハリをつけ、彩度や色ごとの調整で雰囲気を整えます。
  7. 7. 部分補正空だけ暗くする、顔だけ明るくするなど、一部分だけを補正します。
  8. 8. シャープとノイズ最後に、細部のくっきりさとざらつきを調整します。他の調整で見え方が変わるため、最後に回します。
  9. 9. 書き出し用途(Web・SNS・印刷)に合わせて、サイズと形式を決めて書き出します。
ヒストグラムの4つの形。左が暗い部分、右が明るい部分。山が左に寄れば暗く、右に寄れば明るい暗い(アンダー)左に寄る標準山が中ほど明るい(オーバー)右に寄るコントラスト高両端に山左端=真っ黒右端=真っ白(白飛び)横軸=明るさ 縦軸=その明るさの量
ヒストグラムの形。左が暗い所、右が明るい所の量を表す。現像のあいだ、ずっと見ておくと、白飛びや黒つぶれに気づける。

よくある失敗

  • 最初に彩度を上げ、後から明るさを動かして色がおかしくなる。明るさ→色の順で
  • シャープを先に強くかけ、後でノイズが目立つ。細部は最後

明るさとコントラスト:露出・ハイライト・シャドウ

要点 全体の露出で土台を決め、ハイライトとシャドウで両端を整え、最後にコントラストでメリハリを足す。

現像で一番よく使うのが、明るさの調整です。名前は現像ソフトで少し違いますが、役割はおおむね共通です。

明るさ系スライダーの役割(名前はソフトで違うことがある)
スライダー動かすと使いどころ
露出写真全体が明るく/暗くなる(+1.0 で約1段明るい)最初に、全体の土台を決める
ハイライト明るい部分だけが暗く/明るくなる空や白い雲、服の白の細部を戻したいとき
シャドウ暗い部分だけが明るく/暗くなる逆光で暗くなった顔や、日陰の細部を見せたいとき
白レベルいちばん明るい端の位置写真の白さの上限を決める
黒レベルいちばん暗い端の位置写真の黒の締まりを決める
コントラスト明暗の差が大きく/小さくなる全体にメリハリをつけたい/やわらげたいとき
  1. 露出で、全体の明るさを決めるヒストグラムの山が、左右の端に張りつかない程度にします。夕暮れや夜景のように、暗いこと自体が雰囲気の写真は、無理に明るくしません。
  2. ハイライトを下げて、空や白い部分の細部を戻す雲の形や白い服の質感が見えてくる位置を探します。下げすぎると、白い部分が灰色に濁って見えます。
  3. シャドウを上げて、暗い部分の細部を戻す上げるとノイズ(ざらつき)も目立ちやすくなります。拡大して確かめながら、必要な分だけにします。
  4. 黒レベルと白レベルで、両端を締めるヒストグラムの山が、左右の端ぎりぎりに収まる位置が目安です。端からはみ出すと、潰れや飛びが増えます(夜景や霧の写真など、あえて端を空ける場合もあります)。
  5. 最後にコントラストを微調整するハイライトを下げてシャドウを上げると、全体が平たくなります。コントラストを少し足して、メリハリを戻します。

よくある失敗

  • ハイライトを大きく下げ、シャドウを大きく上げて、のっぺりした不自然な写真になる(HDR風)。やりすぎると境界に縁取りが出る
  • モニターの明るさが高すぎて、実際より暗めに仕上げてしまう。他の端末でも確かめる
  • ノイズが見えないまま暗部を上げ、書き出し後に粒が目立つ

色:ホワイトバランス・彩度・自然な彩度・色ごとの調整

要点 まず白の基準(ホワイトバランス)を決め、色の強さは「自然な彩度」で控えめに、色ごとの調整は少しだけ。

色の調整は、「全体の色味を整える」→「色の強さを決める」→「特定の色だけ整える」の順に進めます。光の色の考え方は第4章でも扱いました。

色まわりのスライダーの役割(名前はソフトで違うことがある)
スライダー何をするかひとこと
色温度(ホワイトバランス)青っぽい⇔黄色っぽい光の色を合わせる。数字の向き(大きくすると暖かくなるか)はソフトで違う。夕焼けの色は残したいので、直しすぎない
色かぶり補正(ティント)緑っぽい⇔赤紫っぽい蛍光灯などの緑かぶりを直すときに使う
彩度全ての色の強さが同じように変わる強くかけると、もともと濃い色が先にくどくなる
自然な彩度薄い色を中心に強さを変え、濃い色は抑える彩度より自然に仕上がりやすい、と言われる。まずこちらから
色ごとの調整(色相・彩度・輝度)赤・橙・黄・緑・青などを個別に調整する空の青だけ濃くする、緑だけ落ち着かせる、など
  1. 白いものを基準に、色温度を合わせる写真に白や灰色の物があれば、スポイト(ホワイトバランス選択)で選ぶと、光の色が整います。雰囲気を残したいときは、あえて少しずらします。
  2. 肌や空の色を見て、色かぶりを確かめる人物の肌が不自然に黄色・赤・緑に見えないかを確認します。見えるなら、ティントや色温度を少し動かします。
  3. 自然な彩度を、少しだけ足す+10〜+20 程度が出発点です。足りなければ少しずつ上げます。
  4. 色ごとの調整で、気になる色だけ整える空の青を少し濃く・暗くする、草の緑を黄緑寄りから落ち着いた緑寄りにする、肌のオレンジを自然に戻す、といった使い方があります。
光の色温度の目安。低いほどオレンジ、高いほど青っぽい約2000Kろうそく約3000K電球約4000K朝夕の日の光約5500K昼の日なた約6500Kくもり約8000K日陰オレンジっぽい(低い)青っぽい(高い)ホワイトバランスは、この色を「白」に見えるよう打ち消す設定
色温度の目盛り。数字が小さいほどオレンジ、大きいほど青い光。現像では、これを後から動かして色を合わせる。

よくある失敗

  • 彩度を上げすぎて、空や葉が蛍光色のように濃くなる。数字より、見た目で判断する
  • 夕焼けの赤みをホワイトバランスで消してしまう。雰囲気を残すか、補正するかを決めてから
  • 色ごとの調整で緑や青を極端に動かし、境目の不自然な縁が出る

トーンカーブ:明るさと色を、線1本で操る

要点 横軸が元の明るさ、縦軸が仕上がりの明るさ。線を持ち上げれば明るく、下げれば暗く。S字にするとメリハリが出る。

トーンカーブの形。S字はメリハリが出て、逆S字はやわらかく、黒を持ち上げるとしっとり淡くなる直線変化なしS字メリハリが出る逆S字やわらかくなる黒を持ち上げしっとり・淡い横=もとの明るさ(左が暗い・右が明るい) 縦=仕上がりの明るさ
トーンカーブの4つの形。S字はメリハリ、逆S字はやわらかさ、黒を持ち上げるとしっとり。

トーンカーブは、明るさの調整を1本の線で表したものです。左下が暗い所、右上が明るい所です。最初は真っ直ぐな斜め線で、これは「何も変えない」状態です。線の途中を持ち上げると、その明るさの部分が明るくなり、押し下げると暗くなります。

トーンカーブの形と、見え方の変化(目安)
カーブの形見え方使いどころ
真っ直ぐ(斜め線)変化なし基準
全体を持ち上げる全体が明るくなる暗い写真を起こす
S字(暗部を下げ、明部を上げる)コントラストが強くなる平たい写真にメリハリを出す
逆S字(暗部を上げ、明部を下げる)コントラストが弱くなるやわらかい雰囲気にしたいとき
左下の端を持ち上げる黒が浮き、全体がふんわり明るい印象に淡い、フィルム風の雰囲気

コントラストのスライダーでも同じようなことができますが、トーンカーブは「どの明るさの範囲を動かすか」を選べるのが違いです。たとえば、中間の明るさだけを持ち上げて、真っ暗な所と真っ白な所は動かさない、といったことができます。

よくある失敗

  • S字を強くしすぎて、暗い所が潰れ、明るい所が飛ぶ
  • カーブの途中に点を打ちすぎて、色が段階的に変わる不自然な見え方になる

細部:シャープとノイズ軽減は「最後に、控えめに」

要点 シャープは輪郭をはっきりさせ、ノイズ軽減はざらつきをなめらかにする。どちらも効かせすぎると、かえって不自然になる。

シャープネスは、細部の輪郭を強調して、くっきり見せる処理です。ノイズ軽減は、暗い所や高い ISO で出る粒状のざらつきを減らす処理です。この2つは、画質を整える仕上げの作業です。

シャープとノイズ軽減の主な設定項目(名前はソフトで違うことがある)
項目意味動かし方の目安
シャープ:量輪郭を強調する強さ少しずつ。拡大表示(等倍)で確かめる
シャープ:半径強調する輪郭の太さ細かい模様の写真は小さめ、大きな輪郭は大きめ
シャープ:マスク輪郭だけに効かせ、平らな部分にはかけない空や肌の滑らかな部分にざらつきを出さないために、少し効かせる
ノイズ軽減:輝度明るさのざらつきを減らす強くすると、細部の質感が消えてのっぺりする
ノイズ軽減:カラー色のついたノイズ(赤や緑の点)を減らす比較的強めにかけても質感が失われにくい、と言われる
  1. 写真を等倍(100%)に拡大して確認する縮小表示では、シャープもノイズもわかりにくくなります。目や木の葉のような細部を見ます。
  2. カラーノイズから処理する色のついた点を減らします。人の目にはこちらのほうが不自然に見えやすいためです。
  3. 輝度ノイズは、質感が消える手前で止めるざらつきを完全に消そうとせず、気にならない程度に減らします。少しの粒状感は、フィルムのような味に見えることもあります。
  4. シャープは、最後に少しだけマスクを使って、輪郭だけに効かせます。強くかけると、輪郭の周りに白い縁(ハロ)が出ます。

このサイトの実例:ISO 1600 以上で撮った写真

よくある失敗

  • ノイズ軽減をかけすぎて、人物の肌がプラスチックのようにのっぺりする
  • シャープをかけすぎて、輪郭に白い縁が出る・ざらつきが強調される
  • 縮小表示のまま判断し、書き出し後の見え方とずれる

切り抜きと部分補正:構図を整え、見せたい所へ視線を導く

要点 切り抜きは、傾きを直し、不要なものを減らすために使う。部分補正は、空・顔・手前だけなど、一部分だけを動かす。

切り抜き(クロップ)は、撮ったあとで構図を整える作業です。ただし、切るほど画素数が減るので、撮影の時点で構図を決めるのが基本です。切り抜きは、整える程度に使います。

  • 水平線や垂直線の傾きを直す。まず、ここから整えます。
  • 画面の端にある不要なものを外す。少し切るだけで、視線が主役に集まります。
  • 縦横比を揃える。SNS や印刷では、縦横比が決まっていることがあります(4:5・1:1・3:2・16:9 など)。
  • 余白を調整する。主役の向いている側に、余白を残すと落ち着きます(第6章)。

部分補正は、写真の一部だけに調整をかける機能です。ソフトによって、段階フィルター(空などにグラデーションで効かせる)・円形フィルター(丸い範囲に効かせる)・ブラシ(塗った所だけ)などがあります。名前や使い方はソフトで違います。

部分補正のよくある使い方(目安)
やりたいこと使い方コツ
空を暗くして、雲を見せる段階フィルターで上から下へ。露出やハイライトを少し下げる水平線の位置に合わせる。下げすぎると不自然
人物の顔を明るくする円形フィルターやブラシで、顔まわりだけ露出を少し上げる効く範囲の境目が見えないよう、ぼかしを大きめに
主役の周囲を少し暗くする円形フィルターの外側を、わずかに暗く「暗く見える」ではなく「主役が目立つ」程度に
背景の明るい部分を抑えるブラシで塗り、露出やハイライトを下げる主役の縁に補正が回り込まないよう注意

よくある失敗

  • 傾きを直す際に切りすぎ、構図が窮屈になる
  • 部分補正の境目が見えて、写真に不自然なシミのような跡が出る
  • 見せたい所が、周りより暗くなってしまう

書き出し:サイズ・形式・色空間・SNS

要点 現像のあとは、用途に合わせて書き出す。Web や SNS には、sRGB の JPEG が基本。元の RAW は残しておく。

現像した結果は、現像ソフトの中の設定にすぎません。写真として使うには、JPEG などのファイルに書き出す必要があります。書き出しの設定は、使う場所で変わります。

用途別の書き出し設定の目安(投稿先・印刷所の指定があれば、それを優先)
用途形式サイズ(目安)画質・色空間
Web・ブログJPEG長辺 1600〜2400 ピクセル前後画質 70〜85 程度。sRGB
SNSJPEG投稿先の推奨サイズに合わせる(長辺 1080〜2048 ピクセル前後が目安。投稿先の仕様は変わる)画質 80〜90 程度。sRGB
スマホの待ち受け・共有JPEG元のサイズでも可sRGB
プリント(印刷)高画質の JPEG(印刷所の指定があればそれに従う)原寸に近いサイズ画質は高め。色空間は印刷所の指定に従う
保存用(元に近い状態)RAW を保存する。必要なら高画質 JPEG も原寸色空間は sRGB が無難
  1. 色空間は、迷ったら sRGB色空間とは、色を表せる範囲の規格です。多くのモニターやブラウザ、SNS は sRGB を前提にしています。広い色空間のまま書き出すと、見え方が地味になることがあります。
  2. サイズは、使う場所に合わせる大きすぎるファイルは、投稿先で縮小・再圧縮されます。投稿先の推奨サイズを確かめます。
  3. シャープは、出力用に少し足す(ソフトにある場合)縮小すると画像がやや甘くなるため、書き出し時に「画面用」のシャープを選べるソフトもあります。
  4. 位置情報(メタデータ)を、書き出す前に確認する写真には、撮影した場所の情報が含まれていることがあります。公開する写真は、自宅や学校の近くで撮ったものなど、場所がわかって困らないかを確認し、必要なら位置情報を含めない設定にします。

よくある失敗

  • 元のRAWを削除して、書き出した小さな JPEG だけが残る
  • 広い色空間のまま書き出し、投稿先で色がくすんで見える
  • 公開前に位置情報を確認せず、自宅の近くを特定されやすい写真を投稿する

やりすぎない見極めと、スマートフォンの編集

要点 仕上げは「気づかれない程度」を目安に。迷ったら元の写真と見比べ、半分に戻す。スマホの編集も、順番は同じ。

現像は、触れば触るほど「それらしく」見える作業です。だからこそ、やりすぎのサインを知っておくと便利です。

やりすぎのサインと、直し方
サイン起きていること直し方
空や葉が蛍光色のよう彩度が高すぎる彩度を下げ、自然な彩度で整え直す
暗い所と明るい所の境目に、白い縁があるハイライト・シャドウ・シャープの強すぎ各スライダーを半分に戻す
肌がのっぺり、プラスチックのようノイズ軽減の強すぎ、または明瞭度・テクスチャ(細かい質感)を下げすぎ輝度ノイズ軽減を下げる/質感を戻す
全体が灰色がかって重いハイライトを下げすぎ、黒レベルが浮いている白レベルと黒レベルを締め直す
夜なのに昼のように明るいシャドウと露出の上げすぎ雰囲気を優先して、暗さを戻す
  • 元の写真と見比べる機能(ビフォー・アフター)を、こまめに使います。
  • ときどき画面から離れる、または写真を縮小して見ます。細部に入り込んでいたときに気づかなかったやりすぎが見えてきます。
  • 数時間置いて、もう一度見ると、冷静に判断できます。
  • モニターの明るさは、極端に明るくも暗くもしない。他の端末でも見て確かめます。

スマートフォンの写真アプリや編集アプリにも、現像と同じ種類のスライダーが揃っていることが多く、考え方は同じです。名前は機種やアプリで異なります。

  1. 傾きと切り抜きを先に整える多くのアプリで、水平を自動で直す機能があります。
  2. 明るさ→コントラスト→ハイライト・シャドウの順に露出(明るさ)から始め、白飛びしかけた所や暗い所を個別に調整します。
  3. 色は、彩度より自然な彩度(鮮やかさ)や暖かさ(色温度)で強い彩度は、やりすぎにつながります。控えめな動かし方から始めます。
  4. 最後に、シャープやノイズを少しだけ暗い写真は、ノイズが増えていることがあるので、拡大して確認します。

このサイトの実例:スマートフォンで撮った写真

よくある失敗

  • フィルターを強くかけたまま、他の調整をして、色が合わなくなる
  • 同じ写真に何度も編集を重ね、画質が落ちる。元の写真から編集し直す

この章のまとめ

  • RAW は仕上げる前の素材、JPEG は完成品。RAW は明るさと色を後から大きく動かせるが、飛んだ白・つぶれた黒、ピンボケや大きなぶれは直せない。
  • 現像の順番は、選ぶ→切り抜き→ホワイトバランス→明るさ→色→部分補正→シャープとノイズ→書き出し。大きなものから細かいものへ。
  • 明るさは、露出で土台を決め、ハイライトとシャドウで両端を整え、最後にコントラストでメリハリをつける。ヒストグラムを見ながら。
  • 色は、ホワイトバランス→自然な彩度→色ごとの調整の順に。彩度の上げすぎと、肌の色の動かしすぎに注意。
  • シャープとノイズ軽減は最後に、等倍で確かめながら控えめに。書き出しは、用途に合わせたサイズと sRGB の JPEG が基本で、元の RAW は残す。
  • やりすぎかどうか迷ったら、元の写真と見比べ、半分に戻す。

外で撮ってみる(練習)

  1. 練習 11枚の RAW を、順番どおりに現像

    手元の1枚を、切り抜き→ホワイトバランス→露出→ハイライトとシャドウ→色→シャープの順に、ひとつずつ触ります。各ステップで、ビフォー・アフターを見比べましょう。

  2. 練習 2スライダーを「端まで動かして」感覚をつかむ

    露出・ハイライト・シャドウ・彩度・コントラストを、順に一度、端まで動かして、写真がどう変わるかを見ます。そのあと、ちょうどよい位置に戻します。

  3. 練習 3やりすぎから、半分戻す

    わざと強めに仕上げた版を作り、そこから各スライダーを半分に戻します。「気づかれない程度」の感覚をつかめます。

  4. 練習 4用途別に書き出して比べる

    同じ写真を、長辺 2048 ピクセルと 1200 ピクセル、画質 90 と 70 で書き出し、拡大して違いを見ます。ファイルの大きさも見比べましょう。

確認クイズ

Q1RAW 現像でも直せないものは、次のうちどれ?

解説 ピントのずれと大きなぶれは、もとの情報が写っていないため、現像では直せません。明るさやホワイトバランスは RAW なら大きく動かせます。

Q2現像のスライダーを触る順番として、いちばん自然なのは?

解説 大きなもの(構図・色味・明るさ)から整え、細部(シャープ・ノイズ)は最後に回します。先に細部を整えても、後の調整で見え方が変わるからです。

Q3彩度と自然な彩度の違いとして、正しいものは?

解説 彩度はすべての色が一様に強くなり、濃い色がくどくなりがちです。自然な彩度は濃い色を抑えながら調整するので、自然に仕上がりやすいと言われます。

Q4Web や SNS に載せるための書き出しで、基本の選び方は?

解説 多くのモニターやブラウザ、SNS は sRGB が前提です。JPEG を投稿先のサイズに合わせれば、見え方も安定します。

Q5暗い写真のシャドウを大きく持ち上げると、起きやすいことは?

解説 暗い部分はもともと情報が少なく、持ち上げるとノイズも一緒に持ち上がります。拡大して確かめながら、必要な分だけにします。

Q6やりすぎを防ぐための工夫として、適切なのは?

解説 元の写真と見比べると、変えすぎに気づけます。モニターの明るさは極端にせず、縮小表示でも確かめます。

よくある質問

現像ソフトは何を選べばよいですか?

この章の内容は、多くの現像ソフトで共通です。カメラのメーカーが用意している無料のソフトもあります。まず1つを選び、使い慣れることを優先しましょう。ソフトを替えても、考え方と順番は使えます。

プリセット(ワンクリックの設定)は使ってよいですか?

使ってかまいません。ただし、写真ごとに明るさや色が違うので、そのまま当てはめると合わないことがあります。かけたあとに、露出とホワイトバランスを調整しましょう。

JPEG しか撮っていません。現像の意味はありますか?

あります。JPEG でも、明るさ・色・切り抜きは整えられます。ただし、大きく動かすと画質が落ちやすいので、控えめに。これから撮るものは、RAW でも撮っておくと、後の余裕が広がります。