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第4章 光と色・基礎

光と色|光を読んで、色を思いどおりに写す

写真は、被写体そのものではなく、被写体に当たった光を写したものです。同じ場所でも、光が変わると別の写真になります。この章では、光の「質」「向き」「時間」「色」の4つを見分ける目を作り、撮る前に「今日の光でどう写るか」を言えるようになることを目指します。

光の質:硬い光とやわらかい光

要点 影の輪郭がくっきりなら硬い光、ふわっとしていればやわらかい光。人物はやわらかい光、立体感や力強さは硬い光が向く。

光を見るときに、まず確かめたいのは影です。足元や顔の影の縁を見て、くっきりしていれば「硬い光」、ぼんやり溶けていれば「やわらかい光」です。

違いを生むのは、光源の「見かけの大きさ」です。晴れた日の太陽は空では小さな点に近いので、影が硬くなります。曇り空は雲が空全体を覆って大きな光源のように働くので、光がやわらかく回り込みます。窓辺の光やレースのカーテン越しの光が人物に向くのも、同じ理由です。

硬い光とやわらかい光の違い(目安)
硬い光やわらかい光
影輪郭がくっきり。濃い輪郭がぼんやり。淡い
出やすい場面晴れた日中の直射日光・フラッシュの直当て曇り・日陰・窓辺・薄いカーテン越し
写りの印象立体感・力強さ・コントラスト(明暗の差)なめらか・やさしい・落ち着き
向く被写体建物・岩・金属・影の形を見せたい場面人物・子ども・花・料理
注意点顔に濃い影が出る。白飛びと黒つぶれが同時に起きやすいぼんやりした印象になりやすい。立体感が出にくい
  1. 影を見る撮る前に、地面や被写体の影の縁を確かめます。縁がはっきりなら硬い光です。
  2. やわらかくしたいときは、場所を変える日陰や建物の陰に入ると、直射日光が空の明るさに変わり、光がやわらかくなります。窓辺なら、窓の横に立ってもらいます。
  3. 硬い光を活かすなら、影を主役にする強い光は、影の形そのものが被写体になります。壁に落ちる影、路地の光と影など、明暗の模様を探してみましょう。

よくある失敗

  • 真昼の日なたで人物を撮り、目の下や鼻の下に濃い影が出て疲れた顔に見える
  • やわらかい光なら何でもよいと思い、立体感のない平らな写真になる。奥行きを出したいときは、光の向き(次の節)を使う

光の向き:順光・サイド光・逆光

要点 光が来る向きで、写真の表情が変わる。順光は色が出やすく、サイド光は立体感、逆光は雰囲気とシルエット。

被写体を基準に、光がどちらから当たっているかを「光の向き」と呼びます。同じ被写体でも、立つ位置を変えるだけで光の向きが変わり、写真の印象が大きく変わります。

光の向き。順光は被写体の正面、サイド光は横、逆光は後ろから光が当たる順光後ろから当たるサイド光横から当たる逆光向こうから当たる
光の向き。順光は撮る人の背中側から、サイド光は横から、逆光は被写体の向こうから当たる。
光の向きごとの特徴(目安)
向き光が来る方向特徴向く場面
順光撮る人の後ろから色がはっきり出る。影が少なく平らになりやすい記念写真・花・色を見せたい風景
斜光(斜め前から)撮る人の斜め後ろから色が出て、影が少し付く。扱いやすい人物・街のスナップ
サイド光真横から明暗がはっきり付き、立体感と質感が出る建物・彫刻・人物の横顔・古い街並み
逆光被写体の向こうから輪郭が光る。透ける葉や髪が美しい。ただしそのままだと被写体が暗くなるポートレート・花や葉の透過光・シルエット

逆光は難しそうに見えますが、うまく使うと写真の雰囲気が一気に上がります。コツは、「何を見せたいか」を先に決めることです。

  1. 明るさに合わせる場所を決める顔や花を明るく写したいなら、露出補正を+にします(目安は+1 前後。第1章の表も参照)。空の色や雲を残したいなら補正は控えめにします。
  2. シルエットにしたいなら、明るい空に合わせる空の明るさに合わせて撮ると、手前の人物や木は黒いシルエットになります。形がはっきりした被写体を選びます。
  3. 太陽を画面の端や被写体の陰に隠す太陽を画面にそのまま入れると、光がレンズの中で反射して、白いもやや丸い光の輪(フレア・ゴースト)が出ることがあります。被写体や木の陰に太陽を隠すと、出にくくなります。
  4. レンズの汚れを拭いて、フードを付ける汚れた前玉(レンズのいちばん前のガラス)は逆光でいっそう白っぽくなります。フードが付くレンズなら付けましょう。

よくある失敗

  • 逆光で顔が真っ黒になる。露出補正を+にするか、反射板代わりに白い壁や地面の明るい側へ向ける
  • 順光ばかりで撮り、どの写真も平らに見える。同じ被写体を、横や後ろから見る習慣をつける
  • 逆光のとき、レンズが汚れていて写真全体が白っぽくなる

時間帯:朝・昼・夕・夜の光

要点 日の出後と日没前の約1時間は光がやわらかく暖かい。日没の前後は空が青く染まる。昼は光が硬いが、使い方はある。

太陽が低い時間は、光が空気の層を長く通ってくるので、赤みを帯びてやわらかくなります。高い時間は、光が真上から強く当たり、硬くなります。同じ場所を、時間を変えて撮り比べるだけで、光の違いがよくわかります。

時間帯ごとの光の目安。朝夕は金色で影が長く、昼は強く硬い光で影が短い朝青っぽい→金色影は長い午前白っぽく明るい影は短め昼強く硬い光影は真下・濃い夕方金色〜オレンジ影は長い夜人工光と青い空—日の出・日の入りの前後 約1時間が「ゴールデンアワー」(季節・緯度で変わる)
時間帯と光の変化。太陽が低いほど光は暖かくやわらかく、影が長くなる。
時間帯ごとの光と、向く撮り方(時間は季節と土地で変わる。すべて目安)
時間帯光の特徴向く撮り方
日の出前後(ブルーアワーからゴールデンアワー)空気が澄んでいることが多く、色が刻々と変わる朝焼け・霧・静かな街・水面
朝〜午前(日の出後、約1時間以降)光が白くなり、影が短くなる街歩き・順光の風景
昼(太陽が高い時間)光が硬く、影が濃い。色は鮮やか強い影の模様・青空・海・木陰の人物
午後〜夕方光が傾き、暖かくなる人物・街並み・サイド光の質感
日没前の約1時間(ゴールデンアワー)光が金色でやわらかく、影が長いポートレート・風景・逆光
日没後の約30分前後(ブルーアワー)空が深い青に染まり、街の灯りがつく夜景・街並み・水辺

写真の世界では、日の出後と日没前の約1時間を「ゴールデンアワー」、日の出前と日没後の薄明かりの時間を「ブルーアワー」と呼ぶことがあります。時間の長さは、季節と土地の緯度で変わります。日の出・日没の時刻は、天気アプリや専用のアプリで調べられます。

  1. 日の出・日没の時刻を調べる撮影の前日までに、その日の時刻を確かめます。ゴールデンアワーはそのおよそ1時間前後を目安にします。
  2. 30分前に着くブルーアワーは短く、光の変化が速いです。構図を決めて試し撮りをしておくと、いちばんよい時間に撮れます。
  3. 日没後もしばらく残る太陽が沈んだあとの空は、色が深くなることがあります。すぐに帰らず、30分ほど待ってみましょう。

このサイトの実例:1/15 秒より遅いシャッターで撮った写真

よくある失敗

  • ゴールデンアワーの終わりに着いて、光が消えてしまう。余裕をもって着く
  • 暗くなる時間帯に、手持ちでシャッタースピードが遅くなってぶれる(第3章)
  • 山や建物の陰で、日の出・日没より早く日が当たらなくなる。地形で光の時間は変わる

天気と光:晴れ・曇り・雨・霧

要点 曇りはやわらかく人物向き、雨や霧は雰囲気向き。「悪い天気」ではなく「向く被写体が変わる天気」と考える。

天気予報が曇りや雨だと、撮影を諦めたくなります。しかし、曇りや雨の日にしか撮れない写真もあります。天気ごとに、光の性質と向く被写体を整理しておきましょう。

天気ごとの光と、撮りやすい被写体(目安)
天気光の性質向く被写体気をつけること
快晴硬い・コントラストが強い青空・海・影の模様・建築人物は日陰へ。明暗差が大きく、白飛びしやすい
薄曇りほどよくやわらかい人物・街・花影が出にくく、空が白く飛ぶことがある
曇りやわらかい・均一人物・花・紅葉・滝や渓流空が白くなりやすい。空を切り取って地面を主役に
雨暗くしっとり。水面や濡れた路面が光る傘・水たまりの反射・濡れた葉・夜の街機材を濡らさない(第10章)。シャッタースピードを確保
雨上がり空気が澄み、緑や路面の色が濃い葉の水滴・虹・雲の切れ間短い時間で変わる。すぐ動けるように
霧遠くが白くかすみ、奥行きが出る山・森・水辺・街灯露出が暗くなりやすい。補正を+にすることがある

曇りの日は、空が明るすぎて白く飛びやすいので、空を画面から減らして地面や被写体を主役にします。逆に、雲に表情がある日には、空を広めに取ります。

よくある失敗

  • 曇りの日に空を大きく入れて、のっぺりした白い空になる
  • 雨の日に、機材の水滴に気づかず撮り続けて、写真全体がにじむ
  • 霧の写真が灰色で眠くなる。少し明るく(+補正)して、霧の白さを出す

光の色:色温度という物差し

要点 光には色があり、色温度(K・ケルビン)で表す。数字が小さいほどオレンジ、大きいほど青い。

朝や夕方の光はオレンジ色、日陰の光は青っぽく見えます。この光の色を数字で表した物差しが「色温度」です。単位は K(ケルビン)で、数字が小さいほど赤みの強いオレンジの光、大きいほど青い光です。

光の色温度の目安。低いほどオレンジ、高いほど青っぽい約2000Kろうそく約3000K電球約4000K朝夕の日の光約5500K昼の日なた約6500Kくもり約8000K日陰オレンジっぽい(低い)青っぽい(高い)ホワイトバランスは、この色を「白」に見えるよう打ち消す設定
色温度の目盛り。小さい数字ほどオレンジ(暖かい光)、大きい数字ほど青い(冷たい光)。
光源ごとの色温度の目安(実際は天気・時刻・照明で変わる)
光源色温度の目安見た目の色
ろうそくの炎約 2000K 前後濃いオレンジ
白熱電球約 2700〜3000Kオレンジがかった暖色
朝焼け・夕焼け約 3000〜4000K黄色〜オレンジ
晴れた日中の日なた約 5000〜5500Kほぼ白(基準)
曇り約 6000〜7000Kやや青白い
晴れた日の日陰約 7000〜8000K青っぽい

人の目は、光の色が変わっても「白いものは白い」と感じるように、自動で補正しています。カメラはそれが苦手なので、写真にすると「思ったより赤い」「青い」と感じることがあります。それを整えるのがホワイトバランスです。

よくある失敗

  • 蛍光灯や LED の下で撮って、緑がかった写真になる。これは色温度の数字だけでは決まらない色かぶりの問題(次の節)

ホワイトバランスと色かぶり

要点 まずは AWB(オート)。雰囲気を決めたいときは手動で。RAW で撮れば、後から色を直せる。

ホワイトバランス(WB)は、光の色を打ち消して、白いものが白く写るように整える機能です。第1章でも触れたとおり、普段はオート(AWB)で十分です。この節では、AWB が外れる場面と、あえて動かす方法を整理します。

WB の設定と使いどころ(呼び名はメーカーで違う)
設定合う光写真の傾向
オート(AWB)ほとんどの場面光の色を自動で打ち消す。夕焼けも薄くなりやすい
晴天(太陽光)晴れた日なた夕焼けのオレンジを残しやすい
曇天曇り晴天より暖かく写る
日陰日陰曇天よりさらに暖かく写る
電球(白熱灯)オレンジ色の照明青みを足して補正。夜景では青い雰囲気になる
蛍光灯蛍光灯の照明マゼンタ寄りに補正。機種で細かく違う
ケルビン指定(K)色温度を数字で指定全体を自分で決められる
マニュアル(カスタム)白い紙などを撮って登録正確に合わせやすい。商品撮影・コピー撮影向き

ホワイトバランスを動かすと、写真の雰囲気は大きく変わります。たとえば、日陰の風景を「日陰」の設定で撮ると、青みが減って暖かくなります。夕方の街を、ケルビンを少し下げた設定で撮ると、青みが増して静かな印象になります。

  1. 最初は AWB で撮るAWB のまま撮り、液晶で色を確かめます。違和感がなければそのまま。
  2. 色が気になるときは、プリセットを試す「晴天」「曇天」「日陰」などを順に変えて、同じ場面を撮り比べます。気に入った色の設定を覚えておきます。
  3. RAW で撮っておくRAW で撮れば、WB は後から自由に変えられます。迷う場面では RAW が保険になります(RAW については第8章)。

混ざった光(窓の自然光と室内の電球など)では、写真の一部がオレンジ、一部が青くなる「色かぶり」が起きます。全体を一度に合わせることはできないので、見せたい部分に合わせるか、照明を1種類に揃えます。

色かぶりの見分け方と直し方(目安)
症状原因の例直し方
全体がオレンジっぽい電球の下で「晴天」固定/夕方の光AWB か「電球」に。照明を変える
全体が青っぽい日陰・曇り/蛍光灯が白色「日陰」「曇天」に。ケルビンを上げる
緑がかる蛍光灯・一部の LED・植物の反射WB を変える。後から緑を減らす
肌が不自然な色壁や床の反射光(色のある面)色のついた面(赤い壁など)から離れる/光源の向きを変える
雪や白い壁が青い/黄色い光の色が、白いものにそのまま出ている白い紙を基準にマニュアルで合わせる。後から現像で直す

よくある失敗

  • WB を変えたまま次の場面で撮り、全部の色がずれる。撮影が終わったら AWB に戻す
  • 夕焼けが AWB で薄いオレンジに。「晴天」にしてみる
  • 写真ごとに WB を変えて、連続した写真の色がバラバラになる。同じ場面は同じ設定に揃える

露出と色の関係:明るさで色が変わる

要点 暗く写すと色は濃く、明るく写すと色は淡くなる。白飛びした部分は、色も形も戻らないことが多い。

色は明るさと切り離せません。同じ赤い花でも、少し暗めに写すと色が濃く深くなり、明るく写すと淡く軽くなります。空の青、夕焼けのオレンジ、緑の葉も同じです。

明るさと色の関係(目安)
露出色の見え方向く狙い
やや暗め(−1/3〜−1 段)色が濃く、深く、落ち着く夕焼け・青空・紅葉・しっとりした雰囲気
ちょうどよい自然記念写真・商品・記録
やや明るめ(+1/3〜+1 段)色が淡く、軽く、やさしいふんわりした人物・白い花・明るい雰囲気
明るすぎ(白飛び)色が抜けて真っ白。戻しにくい避ける
ヒストグラムの4つの形。左が暗い部分、右が明るい部分。山が左に寄れば暗く、右に寄れば明るい暗い(アンダー)左に寄る標準山が中ほど明るい(オーバー)右に寄るコントラスト高両端に山左端=真っ黒右端=真っ白(白飛び)横軸=明るさ 縦軸=その明るさの量
ヒストグラムの形。山が右端に張り付くと白飛び、左端なら黒つぶれ。

夕焼けの空が白っぽくなるときは、空の明るい部分が白飛びしかけています。ヒストグラムの右端を見て、山が端に張り付いていたら、露出補正を−に動かします。色は暗くしたほうが残りやすい、と覚えておくと便利です。

  1. 色を濃く出したい被写体を決める空の青、夕焼け、紅葉など、色が主役のものを選びます。
  2. −1/3〜−1 段で試す露出補正を−に動かして撮り、液晶とヒストグラムで確かめます。暗くしすぎると黒くつぶれるので、段階的に。
  3. 彩度(鮮やかさ)の設定は後回しカメラの仕上がり設定で彩度を上げる前に、まず露出で色を決めます。彩度の調整は、RAW 現像で自由にできます(第8章)。

よくある失敗

  • 夕焼けで空が白くなり、色が出ない。−補正で撮り直す
  • 明るく撮りすぎて、花びらの色や形が白に溶ける。ヒストグラムで右端を確かめる
  • 彩度を上げすぎて、肌や空が不自然に濃くなる

フラッシュ入門:光を足して、影を起こす

要点 暗い所で光を足すだけでなく、昼間の逆光で顔の影を起こすのにも使える。直当ては硬くなるので、向きや距離に気を配る。

フラッシュ(ストロボ)は、短い時間に強い光を出す道具です。暗い場所でシャッタースピードを稼ぐほか、逆光で暗くなった顔を明るくしたり、影を和らげたりできます。ここでは、内蔵のフラッシュと、外付けのフラッシュに共通する基本を整理します。

フラッシュの直当てとバウンス。直当ては硬い影、天井や壁に当てるバウンスは光が広がってやわらかい直当て光が正面から一方向影が硬く、背後にくっきり出るバウンス(天井・壁に当てる)光が広い面で反射してから当たる影がやわらかい(天井が白いとき)
フラッシュの直当てとバウンス。光が広い面で反射すると、影がやわらかくなる(目安)。
フラッシュの使い方の違い(目安)
使い方やること効果注意
直当て(内蔵フラッシュなど)被写体にまっすぐ光を当てる手軽。暗い場所でも写る光が硬く、影が背後に出る。顔がのっぺり白くなる
日中シンクロ(日中のフラッシュ)昼間にフラッシュを発光させる逆光や日陰で、顔の影を起こす光量が強すぎると不自然。弱めに設定する
バウンス(天井や壁に当てる)フラッシュを天井や壁に向ける光がやわらかく回り込む天井や壁の色が写真にうつる。高すぎる天井は届きにくい
ディフューザー(光を広げる部品)フラッシュの前に半透明の部品を付ける光がやわらかくなる光量が下がる
  1. 日中の逆光の人物に弱くフラッシュを足す露出は背景に合わせ、フラッシュの光量を弱め(−1 段から−2 段が目安)にして発光させます。顔の影が起き、自然な明るさになります。
  2. 暗い室内では、バウンスを試す外付けフラッシュで天井や壁に光を向けます。内蔵のものは向きを変えられないので、白い紙やディフューザーで少しやわらげます。
  3. シャッタースピードの上限を確かめるフラッシュを使うときは、同調速度(フラッシュと同期できる最も速いシャッタースピード)に上限があります。機種で違いますが、1/200〜1/250 秒前後が多いです。取扱説明書で確かめます。

フラッシュを使うと、近くの被写体は明るく、遠くの背景は暗く沈みます。夜景を背景にした人物写真では、スローシンクロ(遅いシャッターで背景の灯りも写し、フラッシュで人物を明るくする設定)を使うと、人物と背景の両方が写ります。ただし、シャッターが遅いのでぶれやすく、三脚や安定した構えが必要です。

人物の目が赤く写る「赤目」は、暗い所で瞳孔が開いているときに、フラッシュの光が目の奥に反射して起こります。赤目軽減の機能を使う、明るい場所で撮る、フラッシュを目から離して使う、などで減らせます。

よくある失敗

  • 内蔵フラッシュを直当てして、顔が白く飛び、背景が真っ黒になる
  • 日中シンクロの光量が強すぎて、不自然に浮いた顔になる
  • 禁止の場所でうっかり発光してしまう。オートのまま撮るときは、フラッシュを「発光禁止」にする

この章のまとめ

  • 影が硬いか、やわらかいかを見る。人物はやわらかい光(曇り・日陰・窓辺)、立体感や力強さは硬い光が向く。
  • 光の向きは立つ位置で変えられる。順光は色、サイド光は立体感、逆光は雰囲気。逆光で顔が暗いときは露出補正を+にする。
  • 日の出後と日没前の約1時間(ゴールデンアワー)と、日没後の薄明かり(ブルーアワー)は光が美しい。時刻は事前に調べる。
  • 曇りや雨や霧にも向く被写体がある。「悪い天気」ではなく「向く被写体が変わる天気」と考える。
  • 光には色があり、色温度(K)で表す。数字が小さいほどオレンジ、大きいほど青い。ホワイトバランスはオートで始め、RAW で撮れば後から直せる。
  • 暗く撮ると色は濃く、明るく撮ると淡くなる。白飛びした部分の色は戻らないことが多いので、ヒストグラムの右端を見る。
  • フラッシュは暗所だけでなく、逆光の顔の影を起こすのにも使える。直当ては硬いので、バウンスやディフューザーでやわらげる。使ってよい場所かを確かめる。

外で撮ってみる(練習)

  1. 練習 1同じ場所を、時間を変えて3回撮る

    近所の同じ場所から、朝・昼・夕方に同じ構図で撮ります。光の向き・影の長さ・色の違いを、並べて見比べましょう。

  2. 練習 2人物か置物を、順光・サイド光・逆光で

    家族や友人、またはぬいぐるみなどを、立つ位置を変えて3方向から撮ります。逆光では露出補正を+1 前後にして、顔の明るさを確かめます。

  3. 練習 3ホワイトバランスを変えて5枚

    夕方の空や室内の電球の下で、同じ場面を AWB・晴天・曇天・日陰・電球で撮ります。色の違いを見て、好みの設定を覚えましょう。

  4. 練習 4露出を−1・0・+1 で撮る

    夕焼けや赤い花を、露出補正−1・0・+1 で撮ります。色の濃さと白飛びの出方を、ヒストグラムと一緒に見比べます。

確認クイズ

Q1人物をやわらかく写したい。真昼の晴天で、最も手軽な方法は?

解説 日陰に入ると、直射日光が空の明るさに変わり、光がやわらかくなります。顔の濃い影も出にくくなります。

Q2逆光で人物の顔が暗く写った。まず試す方法として適切なのは?

解説 カメラは背景の明るさに合わせて暗く撮ってしまうので、露出補正を+に動かして顔を起こします。そのほか、日中シンクロや反射板でも補えます。

Q3色温度の説明として正しいものは?

解説 色温度は光の色を表す数字で、小さいほどオレンジ、大きいほど青い光です。明るさではありません。

Q4夕焼けの空が白っぽくなり、色が出ない。最初に試すことは?

解説 空の明るい部分が白飛びしかけています。少し暗く撮ると、色が濃く残ります。ヒストグラムの右端も確かめましょう。

Q5ホワイトバランスについて、最も適切な使い方は?

解説 オート(AWB)は多くの場面で実用的です。雰囲気を決めたいときだけ手動にし、RAW なら後から変えられます。設定は撮り終えたら戻します。

Q6フラッシュの使い方として、適切なものは?

解説 フラッシュを禁止している場所があります。目の近くでの発光も避けましょう。同調速度の上限も、取扱説明書で確かめる必要があります。

よくある質問

ゴールデンアワーに撮れない日は、どうすればよいですか?

曇りや日陰の光はやわらかいので、人物や花には向いています。時間が取れないときは、日陰を探す、窓辺を使う、逆光側から撮るなど、場所や向きを変えるだけでも光は変わります。

ホワイトバランスは、毎回変えたほうがよいですか?

毎回変える必要はありません。オートで十分な場面がほとんどです。色が気になる場面や、雰囲気を決めたい場面だけ動かし、終わったら戻しましょう。RAW で撮っておけば、後から変えられます。

スマートフォンでも、光や色を整えられますか?

できます。画面をタップして出る明るさのスライダーで、露出を動かせます。色味は、撮影後の編集アプリで調整できます。フラッシュは暗い所で使えますが、近くの被写体が白く飛びやすいので、照明のある場所では切ることも考えましょう。

蛍光灯や LED の下で、写真の色がおかしくなります。

蛍光灯や LED は、光の成分が偏っていて、色が緑やマゼンタ寄りにずれたり、連写で明るさや色がまばらになったりすることがあります。WB を変える、RAW で撮って後から直す、シャッタースピードを少し遅くする、などで改善することがあります。